【今年はいくら?】最新の障害年金支給額改定
〜等級別の増減をチェック〜

はじめに

2025年度の年金額改定が決定され、障害年金受給者の皆様にも重要な変更が生じています。今年度は物価上昇と賃金水準の変化を反映した改定となり、多くの等級で支給額の増額が実現しました。

今すぐ確認したいポイント

「自分の等級でいくら変わったの?」
「家計にどのような影響があるの?」
「手続きは必要?」

本記事では、2025年度の障害年金支給額改定について、等級別の具体的な金額、前年度からの変化、実際の受給額への影響を詳しく解説いたします。受給者の皆様の生活設計に役立つ最新情報をお届けします。

2025年度障害年金支給額改定の概要

改定の背景

2025年度の年金額改定は、令和7年度年金額改定として実施され、以下の経済指標を反映しています:

改定に影響した主要指標

指標 2024年実績 改定への影響
物価変動率 2.70% 支給額増額方向
賃金変動率 2.10% 中程度の増額影響
マクロ経済スライド 0.40% 調整による減額
実質的な改定率 2.30% 総合的な増額

改定率の決定メカニズム

年金額の改定は、以下の原則に基づいて決定されています:

基本原則

物価・賃金スライド制

物価や賃金の変動に応じた自動調整

マクロ経済スライド

将来世代への配慮による調整機能

下限設定

極端な減額を防ぐセーフティネット

2025年度の特徴

今年度は物価上昇が賃金上昇を上回ったため、物価変動率を基準とした改定が適用されました。これにより、生活費上昇に対応した実質的な支援が実現されています。

改定のスケジュール

時期 内容
2025年01月 改定率の正式発表
2025年04月 新支給額の適用開始
2025年06月 4-5月分の差額を含む支給

等級別支給額の詳細と前年度からの変化

障害基礎年金の等級別支給額

2025年度支給額と前年度との比較

等級 2025年度年額 2024年度年額 増減額 増減率
1級 1,020,000円 996,300円 +23,700円 2.40%
2級 816,000円 797,040円 +18,960円 2.40%

月額ベースでの変化

等級 2025年度月額 2024年度月額 月額増加
1級 85,000円 83,025円 +1,975円
2級 68,000円 66,420円 +1,580円

障害厚生年金の基本支給額変化

障害厚生年金は個人の報酬比例部分により異なりますが、基準となる最低保障額も改定されています:

配偶者加給年金額

対象 2025年度年額 2024年度年額 増減額
配偶者加給年金 228,700円 223,800円 +4,900円

実際の増額効果

年間での増額効果

1級受給者:年間約24,000円の増額
2級受給者:年間約19,000円の増額
配偶者加給年金:年間約5,000円の増額

生活への影響

月額1,500-2,000円程度の増額は、以下のような生活支援効果が期待されます:

・日用品費の物価上昇分のカバー
・医療費負担の軽減
・光熱費上昇への対応

障害基礎年金の支給額改定内容

改定の詳細分析

1級障害基礎年金

2025年度:年額1,020,000円(月額85,000円)

内訳 金額 説明
基本額 816,000円 2級相当額
1級加算 204,000円 基本額の25%加算
合計 1,020,000円 最終支給額

前年度からの変化

  • 年額で23,700円増(月額1,975円増)
  • 増加率2.4%は物価上昇に準じた適切な水準

2級障害基礎年金

2025年度:年額816,000円(月額68,000円)

比較項目 2025年度 2024年度 差額
年額 816,000円 797,040円 +18,960円
月額 68,000円 66,420円 +1,580円
日額 約2,267円 約2,215円 +52円

子の加算額の改定

加算対象と金額

加算対象 2025年度年額 2024年度年額 増減額
第1子・第2子 各228,700円 各223,800円 +4,900円
第3子以降 各76,200円 各74,600円 +1,600円

具体的な計算例

1級・配偶者・子2人の場合

基本年金額:1,020,000円
配偶者加給年金:228,700円
子の加算(第1子):228,700円
子の加算(第2子):228,700円
──────────────────
合計年額:1,706,100円(月額約142,175円)
前年度比:+58,100円の増額

障害厚生年金の支給額改定と計算方法

報酬比例部分の改定

障害厚生年金の報酬比例部分は、過去の厚生年金加入期間中の平均標準報酬額に基づいて計算されます。

計算式の基本構造

報酬比例年金額 = 平均標準報酬月額 × 7.125/1000 × 加入月数

2025年度の改定ポイント

・再評価率の改定により、過去の標準報酬が現在価値に調整
・物価スライドにより、既裁定年金も2.3%程度の増額

等級別の特徴と計算例

1級障害厚生年金

基本構造

・報酬比例部分の1.25倍
・配偶者加給年金額の加算
・障害基礎年金1級との併給

計算例(平均標準報酬月額30万円、加入期間20年の場合)

報酬比例部分:300,000円 × 7.125/1000 × 240月 × 1.25 = 641,250円
配偶者加給年金:228,700円
障害基礎年金1級:1,020,000円
──────────────────────────────
合計年額:1,889,950円(月額約157,496円)

2級障害厚生年金

基本構造

・報酬比例部分(倍率なし)
・配偶者加給年金額の加算
・障害基礎年金2級との併給

計算例(同条件)

報酬比例部分:300,000円 × 7.125/1000 × 240月 = 513,000円
配偶者加給年金:228,700円
障害基礎年金2級:816,000円
──────────────────────────────
合計年額:1,557,700円(月額約129,808円)

3級障害厚生年金

基本構造

・報酬比例部分のみ(基礎年金なし)
・最低保障額の設定
・配偶者加給年金なし

2025年度最低保障額

・年額612,000円(月額51,000円)
・前年度より約14,000円の増額

若年特例の改定

25歳未満での障害認定の場合

厚生年金加入期間が短い場合でも、300月加入したものとみなして計算される特例措置があります。

実際の加入期間 みなし加入期間 効果
36月(3年) 300月(25年) 大幅な年金額アップ
60月(5年) 300月(25年) 相当な年金額アップ

年金額改定の仕組みと決定プロセス

法的根拠と改定方式

国民年金法・厚生年金保険法の規定

年金額の改定は、以下の法的枠組みに基づいて実施されています:

改定方式 適用条件 2025年度の適用
物価スライド方式 物価変動率 > 賃金変動率 ✓ 適用
賃金スライド方式 賃金変動率 > 物価変動率 非適用
マクロ経済スライド 常時適用(調整期間中) ✓ 適用

改定率の詳細計算

2025年度の計算プロセス

  1. 物価変動率:+2.7%
  2. 賃金変動率:+2.1%
  3. 適用率:+2.7%(物価変動率を採用)
  4. マクロ経済スライド調整:-0.4%
  5. 最終改定率:+2.3%

マクロ経済スライドの仕組み

目的

将来世代への年金制度の安定的継承

調整要素

・被保険者数の減少率
・平均余命の伸び率
・固定調整率(-0.3%)

改定決定の年間スケジュール

詳細なプロセス

時期 プロセス 担当機関
毎年10–12月 物価・賃金統計の確定 総務省・厚労省
1月 改定率の算定・発表 厚生労働省
2–3月 予算案・法案審議 国会
4月 新年金額の適用開始 日本年金機構

特例措置と保護規定

下限保護

改定率がマイナスの場合

・前年度の年金額を下回らない保護措置
・極端な生活水準低下の防止

激変緩和措置

大幅な変動の場合

・段階的な改定実施
・受給者への事前通知と説明

実際の受給額への影響と具体的な計算例

代表的なケース別影響分析

ケース1:障害基礎年金2級・単身者

基本情報

年齢:45歳
障害等級:2級
家族構成:単身

収入変化

項目 2024年度 2025年度 差額
月額 66,420円 68,000円 +1,580円
年額 797,040円 816,000円 +18,960円

生活への影響

・光熱費上昇分の一部カバー
・食費物価上昇への対応
・医療費負担軽減効果

ケース2:障害厚生年金1級・配偶者あり・子1人

基本情報

年齢:50歳
障害等級:1級
平均標準報酬月額:35万円
加入期間:25年
家族:配偶者・子1人(18歳未満)

詳細計算

障害基礎年金1級:1,020,000円
報酬比例部分:350,000円 × 7.125/1000 × 300月 × 1.25 = 933,750円
配偶者加給年金:228,700円
子の加算:228,700円
─────────────────────────────────
合計年額:2,411,150円(月額約200,929円)
前年度比:約+55,000円の増額

ケース3:障害厚生年金3級・単身者

基本情報

年齢:40歳
障害等級:3級
平均標準報酬月額:25万円
加入期間:15年

計算例

報酬比例部分:250,000円 × 7.125/1000 × 180月 = 320,625円
最低保障額:612,000円
─────────────────────────────────
支給額:612,000円(月額51,000円)
※最低保障額が適用
前年度比:約+14,000円の増額

所得による年金額の変動なし

重要なポイント

障害年金の支給額改定は、受給者の所得に関係なく一律適用されます:

  • 給与所得の有無に関わらず改定
  • 事業所得があっても影響なし
  • 他の年金受給との重複でも改定適用

税金への影響

課税対象額の変化

等級 課税対象 2025年度の影響
障害基礎年金1級・2級 非課税 税負担変化なし
障害厚生年金1級・2級 非課税 税負担変化なし
障害厚生年金3級 課税対象 若干の課税額増加

特別支給や加算額の改定について

各種加算額の改定内容

配偶者加給年金額

改定内容

2025年度:年額228,700円(月額19,058円)
2024年度:年額223,800円(月額18,650円)
増額:年額4,900円(月額408円)

支給要件

障害厚生年金1級・2級の受給者
配偶者が65歳未満
配偶者の年収が850万円未満

子の加算額

対象児童 2025年度年額 前年度からの増額
第1子・第2子 228,700円 +4,900円
第3子以降 76,200円 +1,600円

支給要件

・18歳到達年度の末日まで
・20歳未満で障害等級1級・2級の状態

経過的加算の改定

障害基礎年金の経過的加算

対象者:昭和61年4月1日前から国民年金に加入していた方
改定率:基本年金額と同率の2.3%増

計算例

基本的な経過的加算(生年月日により異なる)
昭和25年生まれの場合:約15,000円/年
改定後:約15,350円/年(+350円程度)

特別障害給付金の改定

制度概要

国民年金の任意加入期間中に未加入だった方への特別措置

2025年度支給額

等級相当 2025年度月額 2024年度月額 増額
1級相当 54,020円 52,850円 +1,170円
2級相当 43,220円 42,280円 +940円

年金生活者支援給付金

基本給付金

対象年金 2025年度月額 2024年度月額 増額
障害基礎年金1級 6,425円 6,282円 +143円
障害基礎年金2級 5,140円 5,025円 +115円

支給要件

・障害基礎年金の受給者
・前年の所得が4,721,000円以下

支給額変更の通知と手続きについて

年金額改定通知書の受け取り

通知書の発送時期

発送時期 対象者 内容
6月上旬 偶数月受給者 4-5月分の差額を含む支給額
7月上旬 奇数月受給者 5-6月分の差額を含む支給額

通知書の見方

年金額改定通知書には以下の情報が記載されています:

記載項目 内容
改定前年金額 2024年度の年額・月額
改定後年金額 2025年度の年額・月額
差額 改定による増減額
適用時期 2025年4月分から

受給者に必要な手続き

基本的には手続き不要

年金額の改定は自動的に適用されるため、受給者による特別な手続きは必要ありません。

確認すべきポイント

1.通知書の内容確認

記載内容に誤りがないか

2.振込額の確認

実際の振込額が通知書と一致するか

3.税額控除の確認

3級の場合の源泉徴収額

疑問や不明点がある場合の対応

連絡先と相談方法

相談内容 連絡先 受付時間
一般的な質問 ねんきんダイヤル
0570-05-1165
月〜金 8:30〜19:00
第2土曜 9:30〜16:00
個別の年金記録 年金事務所 平日 8:30〜17:15
通知書の再発行 ねんきんネット
または年金事務所
オンライン24時間
窓口は平日のみ

よくある質問と回答

  • 通知書が届かない場合は?

    住所変更届が未提出の可能性があります。年金事務所で住所確認を行ってください。

  • 改定額が間違っているように思える場合は?

    年金事務所で年金記録を確認し、計算根拠を説明してもらいましょう。

  • 振込額が通知書と異なる場合は?

    所得税の源泉徴収や介護保険料の控除が影響している可能性があります。

まとめ:家計への影響と今後の見通し

2025年度改定の総合評価

プラス面の効果

今年度の障害年金支給額改定により、以下の効果が期待されます:

経済的支援の強化

・年間約19,000-24,000円の増額により、物価上昇への対応力向上
・月額約1,500-2,000円の増額で、日常生活費の負担軽減
・加算額の増額により、子育て世帯への支援強化

生活への具体的影響

支出項目 月額増額での効果
食費 物価上昇分の一部カバー
光熱費 電気・ガス料金上昇への対応
医療費 通院・薬代の負担軽減
日用品 生活必需品の価格上昇への対応

家計管理における活用のポイント

増額分の効果的な活用

基本的な考え方

1.生活基盤の安定

必需品費用の物価上昇分をカバー

2.将来への備え

一部を緊急時資金として積立

3.生活の質向上

余裕があれば健康維持・社会参加費用に活用

具体的な活用例

月額1,800円の増額の場合の活用例

・食費補填:800円
・光熱費補填:600円
・医療費積立:400円
合計:1,800円

今後の年金額改定見通し

短期的見通し(2026-2027年度)

予想される要因

物価動向:エネルギー価格や食料品価格の動向
賃金動向:労働市場の需給バランスと賃上げ動向
マクロ経済スライド:継続的な調整メカニズム

予想される改定幅

・年間1-3%程度の増減が予想される範囲
極端な増減は激変緩和措置により抑制

中長期的見通し(2028年度以降)

制度的変更の可能性

・マクロ経済スライドの調整期間終了(2025年頃予定)
制度の持続可能性を重視した改定方式の検討
デジタル化による事務効率化と迅速な改定実施

受給者が注意すべきポイント

継続的な情報収集

重要な情報源

・日本年金機構の公式発表
年金額改定通知書の内容
障害年金制度の制度改正情報

生活設計への反映

長期的視点

・年金額は経済情勢により変動することを前提とした生活設計
・他の収入源(就労所得等)との組み合わせ検討
・将来の医療費・介護費用への備え

相談体制の活用

困った時のサポート

・年金事務所での個別相談
・障害者団体等での情報交換
・社会保険労務士等専門家への相談

最終的な提言

今回の改定の意義

2025年度の障害年金支給額改定は、物価上昇に対応した生活支援として重要な意味を持ちます。年間約2万円の増額は、決して大きな金額ではありませんが、継続的な生活の安定に寄与します。

今後への備え

基本的な心構え

制度の理解:年金制度の仕組みを理解し、変更に適応
情報の活用:正確な情報に基づく適切な生活設計
支援の活用:利用可能な制度・サービスの積極的活用

結論

障害年金の支給額改定は、受給者の皆様の生活を支える重要な制度です。今回の増額により、物価上昇による負担の一部が軽減され、より安定した生活基盤の構築が可能になります。

重要なのは、改定された年金額を基盤として、個々の状況に応じた適切な生活設計を行うことです。制度を正しく理解し、必要に応じて専門家のサポートを受けながら、安心できる生活の実現を目指しましょう。

【最新情報の確認について】

年金額は毎年改定される可能性があります。最新の情報については、以下の公式サイトを定期的に確認してください:

  • 日本年金機構公式サイト
  • 厚生労働省年金局
  • ねんきんネット(個人の年金記録確認)
  • 各都道府県・市区町村の障害年金相談窓口

困った時は一人で悩まず、適切な情報源を活用して、正確な年金額を確認し、安心した生活設計を行いましょう。

参考資料・関連情報

年金額改定の法的根拠

  • 国民年金法第27条(年金額の改定)
  • 厚生年金保険法第43条の2(年金額の改定)
  • 国民年金法等の一部を改正する法律(マクロ経済スライド)

計算に使用した数値の出典

  • 令和7年度の年金額等について(厚生労働省発表)
  • 消費者物価指数(総務省統計局)
  • 平均給与額(国税庁民間給与実態統計調査)

関連する制度・給付

  • 年金生活者支援給付金制度
  • 特別障害給付金制度
  • 障害者特別給付金制度
  • 各自治体の障害者手当・給付制度

相談・問い合わせ先一覧

全国共通

  • ねんきんダイヤル:0570-05-1165
  • ねんきん定期便・ねんきんネット専用ダイヤル:0570-058-555

オンライン相談

障害年金専門相談

  • 各都道府県の障害年金相談センター
  • 障害者就労支援センターでの年金相談
  • 社会保険労務士会での無料相談会

今後の制度改正予定

  • 令和8年度以降のマクロ経済スライド調整
  • デジタル化に伴う手続き簡素化
  • 障害認定基準の見直し(検討中)
  • 年金制度一元化に伴う影響(長期的検討事項)

注意事項

本記事の情報は2025年6月21日時点のものです。制度改正や最新の改定情報については、必ず公式サイトで最新情報をご確認ください。